日本放射線安全管理学会

- 原発事故由来の放射性物質拡散に対する取り組み -

 

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放射線についてのご相談窓口Q&A 3

 

科学的根拠が十分ではない放射能対策

Q1: 最近、インターネットやマスメディアで、味噌、EM菌、米のとぎ汁、 などに放射能を分解したり放射能を体外に排出したりして放射能に対する防御効果があるという記事が目につきます。 中にはかなりの値段のものもありますが、これらの効果は文字通り受け取っていいものでしょうか。
 
A1: あげられた味噌、EM菌、米のとぎ汁、の他にもこれらの変形と思われる米のとぎ汁乳酸菌や、 EM・Xゴールドやホメオパシーなどさまざまなものがあるようです。 効果と同時に副作用なども気になるところですが、科学的にきちんとした情報が公表されているものは非常に少なく、 また下記のような問題点もあるので注意深い対応が必要だと思われます。

まず、効果についてですが、表現もさまざまで紛らわしいのですが、
  1. 「放射能を分解する」「(放射性の)重金属を分解する」など放射能そのものを減らしたり無くしたりする、というものと
  2. 「放射性物質の体外への排出を促進する」、という2つに分けられます。
  3.  

    1. について:その核種が放射性であるかどうかは原子核の構造(陽子と中性子の数)で決まってしまい、 放射能をなくすには放射線源や加速器、原子炉などを使って原子核を壊せるだけの大きなエネルギーを与える必要があります。 従って、1)のように放射能を消すような都合の良い物質はあり得ない、ということになり、こんな効能をうたっているものは、 最初から問題ありです。
    2. のタイプのものとして、国内ではセシウムやプルトニウムを尿から排泄させる医薬品が承認されていますが、 高線量の被ばく者の治療のためのもので、医師の診断と処方のもとで使うべきものです。
      そのほかにも、例えばカリウムを多く含む食物を摂取するとカリウムと化学的性質が似ているセシウムの排泄が促進されるなど、 放射性核種を排泄しやすい食品等は考えられます。しかし、人体には放射性であるかどうかを識別する能力はありませんので、 放射性の核種だけを選択的に排出することはできません。実際、ヨウ素剤を飲むと放射性ヨウ素の取り込みが抑えられるのは、 人体が放射性核種と放射性でない核種を区別できないからです。
      現在、放射性核種の排泄を促進すると称しているものの場合、その効果と科学的根拠が明らかでなく副作用についても情報がない、 ものがほとんどであり、中には警視庁に摘発を受けた業者もいるなど、疑ってかかった方が安全と思われます。 例えば、味噌に効果があるとしても、摂りすぎれば塩分過剰で体にマイナスの効果が考えられるなどから、 総合的に判断することが重要と思われます。むしろ、こうした食品等に頼らず、 人体に備わっている異物を排泄する力を信頼して、バランスのとれた食事をとって体力を高め、 新陳代謝を高める工夫をすることを考えたら如何でしょうか。

     

    参考: http://synodos.livedoor.biz/archives/1796844.html

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